第16回作文コンテストの結果発表
今回は「日本作文指導協会賞」の作品を紹介します。
①夏の思い出 中二 森 悠馬
その日のことはあまり覚えていない。ただ、
朝からセミがうるさかった。ぼくは小学校の三
年生だった。ぼくは、サッカーの練習をズル休
みした。理由は多分、暑くてだるかったからだ
と思う。親に嘘をついたがすぐばれた。そして
小1時間しかられた。それから泣きながら練習
に参加した。
先輩やコーチは驚いていたと思う。無理もな
い。休むと言った奴が、泣きながら練習にやっ
てきたのだから。その後、がむしゃらに練習を
した。それからのことは、よく覚えていない。
ぼくはまだヒクヒク言いながら、帰りの坂を
下って行った。でも、そのときの気持ちは、すが
すがしく、うるさかったセミは鳴きやんでいたよう
に思う。
[講評は以下のとおりです]
おぼろげなようで、ある部分、鮮烈な記憶。
それは、自業自得の一日への心の痛みであり、
また、泣きながらがんばった幼い自分へのいとおし
さであろう。
ズル休みの体験という独自の題材を、印象的な導入や
たたみかけのリズムカルな文体で展開する作。
気負わない語り口ながら、状況説明や自己描写が確かで、
読者を場面に引き込む魅力を持っている。
遠い日への回想が、季節感を伴い詩情豊かにつづられた。
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